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セイドレイ【完結】
第52章 親展

「ママぁ~、ね~ママぁ~。はやくいこうよ~」
そう言って母親の白いスカートを引っ張り、駄々をこねる男児。
その少し後方にも、よく似た男児がもう一人。
「マッマ...!見て!」
地面に落ちていた石を拾い上げ、それを母親に見せる。
「は~い。ほら、2人ともママの横に並んで。お婆ちゃんにこんにちは~しなきゃ」
墓前で線香をあげていた母親は、2人の息子にそう促す。
事件発覚から4年後。
亜美は19歳になっていた。
亜美はしゃがみ込み、息子達と目線を同じ高さにする。
「はい。ママの真似して?手と手をこ~して合わせて...こ~ら。もー...ふざけない~」
そんな風に、幼い息子に墓参りの作法を教えようとする亜美。
その眼差しは、以前にも増して優しさに満ち溢れている。
半年前、トメは老衰でこの世を去った。
眠るような最後だった。
今日はその月命日。
亜美は双子の息子2人を連れ、墓参りに来ている。
(トメさん.....お元気ですか...?)
トメの墓前で手を合わせ、亜美は心の中でそう弔う。
気がつくと、つい先程までふざけていた息子達も、いつの間にか亜美の真似をして合掌している。
小さな手と手を合わせ、眉間に皺を寄せて目を瞑る息子達が、亜美はどうしようもなく愛おしかった。
(私もこの子達も...元気です)
双子を出産した亜美は、その後トメの家に身を寄せた。
わずか16歳で二児の母となった亜美にとって、トメの存在がどれ程心強いものであったか。
血の繋がりは無くとも、トメはその命が尽きる最後の瞬間まで、亜美を娘として、2人の息子を孫として見守っていてくれた。
トメが生前、子守りを含めた育児を全面的にサポートしてくれたことで、亜美は高卒認定試験に合格し、現在は通信大学で児童発達の専門分野を学んでいる。
育児と学業の両立は、想像するまでもなく大変だ。
しかも双子で、シングルマザーなのである。
亜美は子供との時間をなるべく犠牲にしないよう、資格取得に必要な単位認定に励んでいる最中だ。
医師になるという夢は、きっと今からでは現実的に難しい。
ならば、福祉の分野で世の中の役に立ちたいと考えたのだ。
そう言って母親の白いスカートを引っ張り、駄々をこねる男児。
その少し後方にも、よく似た男児がもう一人。
「マッマ...!見て!」
地面に落ちていた石を拾い上げ、それを母親に見せる。
「は~い。ほら、2人ともママの横に並んで。お婆ちゃんにこんにちは~しなきゃ」
墓前で線香をあげていた母親は、2人の息子にそう促す。
事件発覚から4年後。
亜美は19歳になっていた。
亜美はしゃがみ込み、息子達と目線を同じ高さにする。
「はい。ママの真似して?手と手をこ~して合わせて...こ~ら。もー...ふざけない~」
そんな風に、幼い息子に墓参りの作法を教えようとする亜美。
その眼差しは、以前にも増して優しさに満ち溢れている。
半年前、トメは老衰でこの世を去った。
眠るような最後だった。
今日はその月命日。
亜美は双子の息子2人を連れ、墓参りに来ている。
(トメさん.....お元気ですか...?)
トメの墓前で手を合わせ、亜美は心の中でそう弔う。
気がつくと、つい先程までふざけていた息子達も、いつの間にか亜美の真似をして合掌している。
小さな手と手を合わせ、眉間に皺を寄せて目を瞑る息子達が、亜美はどうしようもなく愛おしかった。
(私もこの子達も...元気です)
双子を出産した亜美は、その後トメの家に身を寄せた。
わずか16歳で二児の母となった亜美にとって、トメの存在がどれ程心強いものであったか。
血の繋がりは無くとも、トメはその命が尽きる最後の瞬間まで、亜美を娘として、2人の息子を孫として見守っていてくれた。
トメが生前、子守りを含めた育児を全面的にサポートしてくれたことで、亜美は高卒認定試験に合格し、現在は通信大学で児童発達の専門分野を学んでいる。
育児と学業の両立は、想像するまでもなく大変だ。
しかも双子で、シングルマザーなのである。
亜美は子供との時間をなるべく犠牲にしないよう、資格取得に必要な単位認定に励んでいる最中だ。
医師になるという夢は、きっと今からでは現実的に難しい。
ならば、福祉の分野で世の中の役に立ちたいと考えたのだ。

