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第38章 歯磨き…。

少しでも…少しでも
美緒のプライベートを感じていたい
ユタカは
ゆっくりと美緒と男が
仲睦まじく乗り込んだワゴン車に
近づいていく………

美緒とそのハゲ上がった頭の男は
ワゴン車の後部座席に
二人で乗り込んだ…
そのさきに二人がどんな行為に及ぶのか…
ﾊｧﾊｧﾊｧﾊｧ…！
ユタカは胸騒ぎを覚えながら
歩みを進めていた。


と、その時
ユタカのポケットに入っていたスマホが鳴った。
嫁の静香からの電話が
着信したのだ…

ユタカはいったん
ワゴン車に背を向けて
電話に出た。



『もしもしーー。父さん？今何してるの？　今日は私もパートないから、家の諸々の買い物に車出してくれるって言ってたじゃないの！　もう。とっとと帰ってきてよ！』
静香はそうユタカに
イライラした口調で
一方的に告げると電話を切った。


静香は今日の1日が
孝との時間を過ごせない残念さと
今ではすれ違った心を持つようになっていた
ユタカとの1日を過ごさなくてはならない
義務感からついイライラした気持ちに
なっていたのだ…。


『はぁ………。』
ユタカは恨めしげに
背を向けていた
美緒とハゲ上がった男が乗り込んだ
ワゴン車を振り返り
ため息をついて
しょぼんと肩を落として
静香の待つ家に帰っていった。