この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
せめて、今夜だけ…
第7章 夜明けのコーヒーを
催眠術にかかったみたいに声が出ない。
何やってんだよ、俺…っ。
今呼び止めないと、本当に今度こそ…、2度と会えなくなるぞっ!
なのに、何で声が出ないんだ…っ?
今すぐ追いかけて抱き締めたいのに、根でも生えたかのように足すら動けなくなってしまった。
「…………っ!」
声が出ない…、体が動かない…っ。
去っていく魚月の背中を見ながら、俺は何も出来ないでいた。
声も出せず、引き止める事も出来ず。
心底愛していても、心底想っていても、あの女は人のものだ。
俺に引き止める権利なんかない。
俺は魚月にとってただの客でしかない。
俺には、魚月を引き止める権利も理由もない。
俺には、何もない……―――――――。
何も出来ないまま、去り行く魚月の背中を見つめる事しか出来なかった。
黙ったまま、立ちすくんだまま、ただただ魚月の背中を見つめていた。
「何、で………っ」
心の中では必死に叫んでた。
必死に魚月の名前を叫び、自分の想いをずっと叫んでた。
―愛してる…―
「何で…、俺のもんじゃねぇんだよ…」
どんよりと曇った空を見上げた。
鉛色の分厚い雲がかかった空は何も答えてはくれない。
どんなに愛しても、自分のものにはならない。
あの夏の日に感じた、懐かしい想いにも似た感情。
やっと気づいた感情は、またもや俺を突き放し、俺の胸を締め付けて来る。
2度目の恋は、あの夏の日よりも痛い。
何やってんだよ、俺…っ。
今呼び止めないと、本当に今度こそ…、2度と会えなくなるぞっ!
なのに、何で声が出ないんだ…っ?
今すぐ追いかけて抱き締めたいのに、根でも生えたかのように足すら動けなくなってしまった。
「…………っ!」
声が出ない…、体が動かない…っ。
去っていく魚月の背中を見ながら、俺は何も出来ないでいた。
声も出せず、引き止める事も出来ず。
心底愛していても、心底想っていても、あの女は人のものだ。
俺に引き止める権利なんかない。
俺は魚月にとってただの客でしかない。
俺には、魚月を引き止める権利も理由もない。
俺には、何もない……―――――――。
何も出来ないまま、去り行く魚月の背中を見つめる事しか出来なかった。
黙ったまま、立ちすくんだまま、ただただ魚月の背中を見つめていた。
「何、で………っ」
心の中では必死に叫んでた。
必死に魚月の名前を叫び、自分の想いをずっと叫んでた。
―愛してる…―
「何で…、俺のもんじゃねぇんだよ…」
どんよりと曇った空を見上げた。
鉛色の分厚い雲がかかった空は何も答えてはくれない。
どんなに愛しても、自分のものにはならない。
あの夏の日に感じた、懐かしい想いにも似た感情。
やっと気づいた感情は、またもや俺を突き放し、俺の胸を締め付けて来る。
2度目の恋は、あの夏の日よりも痛い。