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せめて、今夜だけ…
第8章 甘い痛み
―――――――カチカチカチカチカチカチ…。
『市原 社長 企業』
月曜日の早朝、俺は会社のデスクであるものを検索していた。
自分でも未練たらしいというか、情けない男だと思うが…。
俺が検索しているのは、魚月の婚約者の市原とかいう男の事だ。
魚月から聞いた話しによると大企業ということ。
それなら、検索をかければヒットするかも知れない。
SNSでも、会社のHPとか…。
大企業なら、ひょっとしたらうちの会社と取引があったかも知れないと思い会社のパソコンでも調べて見たが…。
…何やってんだよ、俺。
魚月にさよならを言われたのに。
魚月はもうすぐ人のものになるのに。
今更魚月の婚約者の事なんか調べてどうすんだよ。
これじゃまるでストーカーじゃねぇか。
ただ、魚月の旦那になるであろう男を見てみたかった。
ちゃんとした男ならいいが、あの夜、あの公園で見た婚約者はお世辞にも優しい人とは言い難い態度だった。
俺が心配することじゃないが、ちょっとした興味が湧いてしまったのだ。
朝の朝礼まではもう少し時間がある。
仕事が始まれば検索する余裕なんてなくなる。
思い付く限りのワードを入力し検索をかける。
それらしい会社を見つけては探り、見つけては探り…、その繰り返し。