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せめて、今夜だけ…
第8章 甘い痛み
ベッドに寝転びながらぼんやりしていると…



『~♪♪♪~♪』



先程投げ捨てたスーツから音楽が聞こえた。
どうやらスーツの内ポケットに入れておいたスマホが鳴ってるようだ。
この音楽は…、誰かからの着信だ。



あー…、誰だ、こんな時間に。
悪いけど、今は誰かと話せる気分じゃない。
仕事の話だろうが、美女からの誘いだろうが、身内の不幸事だろうが、どうでもいい。
誰とも話したくない。

このまま、ベッドに沈んでしまいたい気分だ。



『~♪~♪♪~♪』



しかし、着信は鳴り止む様子がない。
いつもならとっくに鳴り止んでもおかしくないのに。




『♪♪~♪~♪♪♪』





…ったく、誰だよ…、マジで迷惑…。
イライラしながらもベッドから体を引き離し、気だるい体を引きずるようにベッドから下りた。

これだけコールされてしまっては出ないわけにはいかない。
しかし、今は機嫌良く話せる自信はない。
これが桐谷とかだったらマジでキレちまいそうだ。





『♪♪~♪~♪~♪』





尚も鳴り続ける着信。
つーか、誰だよ、マジでしつけぇな…。
床に落ちてるスーツを拾い、内ポケットからスマホを取り出した。



『♪♪~♪~』




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