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せめて、今夜だけ…
第9章 天使と悪魔
魚月の結婚は俺には関係ない。
魚月の言う通り、俺には何も関係ないのに俺の口は止まらない。
心にもない言葉で魚月を追い詰めて行く。

「お前…、本当にそれでいいのか?」

愚問だ。
魚月が決めた事なのに、俺が口出すことじゃないのはわかってるが
苛立ちを止める事が出来ない。
何でこんなにイライラするんだ?

「私が…、どんな気持ちで魚塚さんと離れたと思ってるんですか…?」

少し俯いた魚月が話し始める。
こんな顔をさせるなんて…。
こんなに魚月を傷つけてしまうなんて…。




誰か俺を殺してくれ。




「もう、私の事はほっといて下さいっ!!」
「――――――――っ!」







魚月にそう一喝された瞬間、俺の心の中のドス黒いものが溢れだして行く。
そのドロッとしたものが一気に拡がり、身体中を浸食して行く。

さっきまでのイライラはもう感じない。
感じるのは…、ただ訳のわからない不快感。






「ふざけんな…」
「な――――――きゃあっ!!」







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