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せめて、今夜だけ…
第12章 蛹、羽化の時
俺が与える快楽でこんなに乱れる魚月が可愛かった。
あの男じゃなく、今魚月に触れてるのは俺だ。
魚月は俺だけのものだと錯覚してしまいそうになる。

「あぁっ、ま、またイッ…」

最初の絶頂で体が敏感になってるのか、2度目の絶頂はとても早く訪れた。
ただ、俺の耳には魚月の抵抗する声や懇願する声なんて届いていない。
自分の欲望をただひたすらに打ち付けているだけ。
正体不明のイライラを八つ当たりのように魚月にぶつけているだけ。

「ひぃ、んっ!あぁぁ…っ!イッ、イッちゃ…、あぁぁんっ!!」

ビクビクと激しく痙攣しては呼吸が荒くなり、それでも俺の愛撫は止まらず、魚月はまたその快楽の中に堕ちていく。

「ああっ!やめてぇえっ!やめて下さ…っ!ああぁぁぁっ!!」

最初は俺の愛撫に悶える甘い声。
絶え間なく与えられる快楽に魚月の声は悲鳴に変わり、今はまるで拷問に耐える泣き声。

過ぎた快楽は拷問に等しいと誰かが言っていたのを思い出した。

「ひっく…、い、やぁぁっ…、ひっ、あぁんっ!あっ」
「あーぁ、昨日はあんなに俺を求めてたから、今夜はちゃんとイカせてやったのに…」

クスクスと笑いながら魚月に憎まれ口を吐いた。
逃げ道をなくすこんなやり方はただの意地悪だとわかってても、魚月を追い込む自分を止められない。


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