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せめて、今夜だけ…
第12章 蛹、羽化の時
ぶるぶると震える魚月の体。
コンクリートが打ち付けてあるだけのこんな部屋、最初は肌寒かったかも知れないが、汗ばむ魚月の体を見る限り、この震えは寒さのせいではないのだろう。

「あ、あん…」

快楽の余韻で痙攣が止まらない体。
今日は壊さないでやろうと思っても、魚月の敏感な反応を見ていると自分が抑えられなくなる。
俺の中の本能が掻き立てられる。

本当に…、麻薬のような女だ。

魚月のそこから離れ、立ち上がって魚月の顔を見ると
涙と汗と唾液でぐちゃぐちゃになっていた。
焦点の合わない虚ろな瞳、荒い息づかい。
昨晩同様、意識が崩落して人格が崩壊するのも時間の問題だ。

「あーぁ、ぐちゃぐちゃだな…」

クスクス笑いながら魚月の頬を伝っていた涙を拭ってやると

「あ…ん…」

魚月の瞳は涙目のままで俺に焦点を合わせた。
拳銃のように真っ直ぐと、射抜くような瞳で俺を見つめて来る。

「……………っ!」






背筋の毛が逆立つみたいだ。
魚月の泣き顔を見ただけで背筋にゾクッとしたものが走る。


はは…、やべぇな…。
たったこれだけの事で、理性がぶっ飛んでしまいそうになる。
武者震いが止まらない。





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