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せめて、今夜だけ…
第12章 蛹、羽化の時
体全部が渇望している。
魚月が欲しいと叫んでいる。
どんなに手を伸ばしたって、絶対俺のものにはならないこの女を。

「あう…っ、あああああっ!!」

掌にまで滴りそうな魚月の体液。
絶頂を迎えても尚、魚月の体を貪った。
魚月の反応がいちいち可愛くて、愛しくて…

「……っ」

こんなに想ってても俺のものにならないというもどかしさ。
苛立ちはおさまる気配がない。

「も、だめぇ…っ!許して…っ!あぁっ!」
「あぁ、せっかくこんないい部屋に来てるんだから楽しまねぇとな」

魚月の中からズルリと指を引き抜くと、魚月の透明な愛液がいやらしく俺の指先にまとわりついて来る。
それを指に絡ませて遊びながら、俺はあるものを手に取った。
分娩台の脇に置いてあった機械。

「あ…っ、ん…」

俺の指の気配がなくなっても、快楽の余韻から魚月の体は痙攣を繰り返している。
体の中にはまだ俺の指の動きが残ってるのだろう。
でも、その快楽の余韻を俺は逃がさない。
今、冷静に戻られても面白くない。

「まだまだ、これからなんだけど?」

ヒンヤリと冷たい機械。
血も通ってない、神経も通ってない無機質な機械を手に取り、じりじりと魚月に近づいていく。


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