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せめて、今夜だけ…
第13章 明けの明星、宵の明星




シャー…。



本格的なSMルームでもちゃんと浴室はある。
身体中の体液を洗い流す為に俺は魚月を抱えてバスルームへと向かった。
涙や汗や唾液や愛液を流すために。

魚月の中で果てた後、快楽で失神寸前になってしまっている魚月は、自力で立てる様子ではなかった。
さっきまではあんなに暑かったが、コンクリートが打ち付けてあるだけのこの部屋では空気はすぐに冷めてしまう。
汗をかいたままの体で半裸状態でいては風邪をひいてしまう。
立てそうにない魚月を抱えて、力を振り絞りながらバスルームへと向かった。

「…後は、自分で出来ます」

バスルームへと入るなり、小さくそう呟いた魚月。
どうやら意識がハッキリして来てるみたいだ。
だったら、今一緒にいる男は俺だということも認識しているだろう。
俺と風呂に入るのは嫌ってことか。

「…何かあったらすぐ呼べよ」

浴室の椅子に魚月を座らせて俺は外に出た、が
まだ感覚が戻ってない魚月が心配で、浴室のドアの向こうで待機することに。
もし滑って転んだりでもしたら洒落にならねぇし。

程無くして、シャワーの音が聞こえてきた。
別に今更、魚月の入浴シーンを覗く気もねぇけど、シャワーの音が聞こえただけで、思春期のガキみたいに心臓が高鳴っている。



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