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せめて、今夜だけ…
第14章 火花

俺が会社に出社出来たのはそれから3日後。
念のために病院でインフルエンザの検査もしたが、結果は陰性。
ただの風邪だったらしく大事を取って3日間は養生するようにと言われたのだ。



――――「う~ん…」

昼休み、俺は社食で飯を食いながらスマホを睨んでいた。

先輩にお礼のメッセージを送るべきかどうかで悩んでいるのだ。
風邪をひいた初日。
高熱のせいで動く事すら辛かったあの日、風邪薬も食べるものも何も準備していなかった俺の為に
風邪薬や冷却シートを持参してくれて、料理まで作ってくれた。

仕事が忙しいのかあの日から先輩とは連絡を取っていない。
まぁ、仕事があるのだから仕方がないし、俺の為に無理に時間を作って貰うのも申し訳ない。
あの日だって仕事の合間にわざわざ来てくれたのだろう。
お礼も兼ねて元気になった報告ぐらいはしとくべきだろうか…。

でもあの日…、傷ついている先輩に俺は何も出来なかった。
ただ単に寂しさのあまりあんな事をしてしまったのか…、それとも…。
そう考えると、安易に先輩に連絡が出来なかった。

俺は先輩に何もしてあげられないのだから、仕事以外の事で連絡をするのはやめた方がいいだろうか。

いろんな考えが頭の中をぐるぐる巡っていて昼飯どころではなくなっていた。

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