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せめて、今夜だけ…
第14章 火花
つまり、魚月と翔太はデートの最中と言うわけだ。
そこで運悪く俺達と出会してしまったということ。

何でこんな時に出会してしまうんだ…。
俺もつくづく運がない男だと思う。

「いやー、驚いたのはこっちですよ。まさか安西さんと魚塚さんが…」
「はい?」

何か意味ありげな翔太の一言。
ニヤニヤしながら俺と先輩を見ている。
何の事だか意味がわからなかったが、翔太の視線はこちらに向けられている。

そこで俺はハッと気づいた。





そうだ…。
先輩、俺の腕に捕まってるんだった…っ!





「あ、いや…、これは…っ!」

慌てて先輩の腕を振りほどこうとしたが、時は既に遅い。
翔太の顔は完全に誤解をしている。
俺と先輩が付き合ってる、と。

「隠さなくてもいいじゃないですか!安西さんと魚塚さん、お似合いだと思いますよ!」

やっぱり、誤解されてしまっている。

「そうじゃなくて…」


最悪だ…。
先輩とのこんな場面を見られて、誤解までされて…。
しかも、魚月の前で…。

魚月は翔太の陰に隠れてこちらを見ようとしない。

「もう翔太さんったら…。魚塚君が困ってるじゃないですか~」
「すいません。何だか僕まで嬉しくなっちゃって」

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