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せめて、今夜だけ…
第16章 泡沫に泳ぐ魚
「ひっ、ひう…っ」

体を痙攣させながら必死に訴える。
もう限界だと、今にも壊れてしまいそうな快楽を持て余しながら。

「も…、ダメッ…、あっ、あああ―――――――」




―――――――っ!





何度も何度も強制的に絶頂を迎えさせられて、何度目かわからない絶頂を迎えた今、顔に感じた水飛沫。
それは、シーツに大きな痕跡を拡げ染み込んでいく。

「あーぁ、潮を吹くほど気持ち良かったか?」
「はっ、あ…」

意地悪っぽく質問してみたが、俺の問いかけにも応えられないような反応だ。
体を痙攣させて、本能的に呼吸を整えようとしているよう。
快楽に溺れて、人格も崩壊して、聴覚までやられてるのか。

「は、はぁ、はぁ…っ」

潮まで吹いたし、これ以上攻め続けたら本当に壊れてしまいそうだな。
ここで壊れられたら後がない。

「魚月?」

魚月の足の隙間から体を起こし、魚月の顔を覗き込んだ。


焦点が合わないまま、微睡み、潤んだ瞳。
頬は微かに紅潮していて、息をしようと開いた口からは唾液が垂れ流れている。
汗と涙でぐちゃぐちゃになったその表情が、俺にはたまらなく美しく見えてしまった。


「…………っ」


あーぁ…、無理をさせてしまったお詫びに少しぐらいは休憩して甘やかしてやろうと思ったのに…。

この表情は反則だ。

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