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せめて、今夜だけ…
第17章 人魚が残した猛毒
―――――『魚塚さん…』
魚月を抱いた最後の夜、俺は自分のスマホを海に投げ捨てた。
過去を…、魚月への気持ちを全て精算したかったのかも知れない。
それでも、今でも耳に残っている。
俺の名前を呼ぶ魚月の甘い声…。
「社長賞、おめでとうさん!」
「あぁ、ありがとう」
その日、俺は久しぶりに桐谷と飲みに来ていた。
海外のとある大手メーカーとの契約を成功させた俺を祝ってくれているのだ。
会社帰りに桐谷の行きつけのバーで桐谷と2人で細やかな祝賀会を行っている。
「しかしすげぇなお前。社長賞なんてうちの部では初めてだな」
「運が良かっただけだよ」
薄暗い店内で男2人でバーボンで乾杯。
我ながら花のない祝賀会だと思う。
まぁ、今は女と飲む気分でもないし、それで構わないが…。
「どうせならここに可愛いJKでもいてくれたらなぁ」
やっぱり…、桐谷の事だからそう言うと思った。
「JKはダメだろ。未成年だし、酒も飲めねぇだろう」
こいつはとうとう女子高生にまで手を出そうとしてるのか。
未成年の飲酒は法律で禁止されてるし、そもそも未成年に手を出した時点で犯罪だろうが。
「冗談だよ、冗談!元気付けてやろうとしたのに」