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せめて、今夜だけ…
第20章 傷ついた鱗






ぶっちゃけた話しをすると、健全な成人男性なら…
いや、健全な男なら、誰だって考えた事のあるシチュエーションだ。
1度ぐらい…、こんな興奮する事態にならないものかと妄想したこともあるだろう。

年上の綺麗なお姉さんに犯される、なんて、どっかのAVみたいなシチュエーション。

そんな素敵な事態にお目にかかってみたいと、多感な青春時代に憧れたものだ。

だが、今のこの状況は――――――。



「好きよ、由之」

高校時代のマドンナで、俺の元カノである先輩に薬を盛られて犯されかけている。

洒落になんねぇだろ…。
くそっ、これが男だったら火事場のくそ力で蹴り飛ばしてやるとこだが、相手は女性だ。
そんな乱暴なことはしたくない。

って、そんな悠長に構えてる状況ではない。

このままじゃ、俺マジで…。

「体に聞けばわかるわね…」

体は痺れてるのに感度はそのまま。
感じたくないのに、体が勝手に…。
先輩の手が俺のベルトのバックルを外し、ファスナーをずらし、下着の中に挿入されようとしていた。

「…………っ!」

くっ、やべぇ、このままじゃ本当に先輩に…っ!




その時、俺の脳裏に浮かんだのは…。




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