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せめて、今夜だけ…
第21章 嘘と罠
「このまま帰るのも味気ないので…。よかったらお茶でもどうですか?」
「え?僕と、ですか?」
男が男を誘うなんて、さすがに怪しまれたか?
突然の誘いに翔太も少し困惑しているようだった。
でも、どうしてもこの男を逃すわけにはいかないのだ。
「はい。いろいろ…、お聞きしたい事もありますから」
逃がさない。
魚月の事を聞き出すまでは絶対…。
「えぇ。いいですよ」
ニッコリとりと笑った翔太。
その返答に、俺は思わず心の中でガッツポーズを取った。
どうしよう。
武者震いが止まらない。
何のプランも作戦もなしで、単身丸腰で敵地に乗り込んだようなものなのに、まさかの偶然で翔太に会えてしまったのだ。
この期を逃す訳にはいかない。
神様がくれたこんな最高のチャンスを逃したりしない。
「それじゃあ、場所を変えましょうか。せっかく久しぶりに翔太さんに会えたんですから、ゆっくり語らいましょう」