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せめて、今夜だけ…
第27章 海底、奥深く…
「やめてっ!い、挿れないで…」

這いつくばって逃げようにも下半身は俺に捕まれてるし、不安定なその格好では逃げようがない。
俺はベルトのバックルを外して、ジーンズのファスナーをずらしていく。

「お願いだから…っ」
「今まで散々俺に抱かれて来たくせに何を今更」

今まではちゃんと避妊具を使ってきた。
婚約者がいるのに不倫まがいのことをして孕ませるわけには行かなかったから。
魚月に溺れてる俺でもそれぐらいの理性はあった。
でも、今は…。

「最低っ!大嫌いよっ!!」
「だったら何でここに来たっ!!」
「―――――――――っ!」

その言葉に、魚月の罵声の声が止まった。




俺は言ったはずだ。
俺の事が嫌いになったなら部屋に来なくていいと。
だが、魚月はここへ来てくれた。
その上で嫌いだの最低だのと罵られても説得力に欠ける。
誰が信じられるか、そんな言葉。


「俺の事が嫌いで忘れるつもりだったなら何で部屋に来たんだ?」

勝手にいなくなったと思えば、今度は思わせ振りに部屋に来た。
その上で俺が嫌いだと?
行動と言葉が一致していない。
だが、魚月の嘘や強がりぐらい見抜けない俺じゃない。

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