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せめて、今夜だけ…
第6章 刹那
―――――――「んっ、ん…っ」
眩暈がするぐらいに魚月がそばにいる。
その事実だけで頭が沸騰しそうになる。
寒さと雨から逃げるように近くのホテルに入った俺と魚月。
今にして思えば、ショックのせいで魚月も正常な判断が出来なくなっていたのか、俺の腕の中で大人しくなってしまった。
部屋に入るなり、まるで獣のように魚月をベッドに押し倒した。
「待ってっ!せめて、シャワー…」
そんな魚月の声も無視して、獣が餌を貪るように魚月の衣類を脱がして行く。
脱がす、というより今にも引き裂きそうな勢いで。
「やだっ!待っ…」
「うるさいっ…」
「――――――んっ」
魚月の声を塞ぐように、魚月の唇を絡め取った。
魚月の何もかもを飲み込んでしまいそうなぐらい、唇を抉じ開けて、舌で口内を犯して行く。
「んっ、はぁ…」
たまに漏れる吐息が、俺の本能を駆り立て煽って来る。
苦しさのあまり、俺の体の下でじたばたと抵抗するが、逆効果だ。
逃げようとすれば捕まえたくなる。
逃げられないように押さえつけて、魚月の全部を支配したくなる。
他の事は何も考えられなくなるぐらい、全部俺で満たしたい。
両親や工場の事なんか今は考えなくていい。
婚約者の事も――――――…っ。