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君の光になる。
第7章 ふたり
「あ、で、出るかも……ん、ん、ん、ん……あ、あ……」
 安倍の腰が徐々に速さを増す。固いベッドのクッションがグググっと唸りを上げて揺れる。やがて安倍の腰は静かに止まった。

「ああ、安倍さん……、安倍さん……」
 夕子は安倍のを抱き寄せた。安倍がツルリと夕子の身体から抜けた。

 ガサゴソとティッシュを抜き取る音が聞こえた。少し前まで安倍のと繋がっていた場所が拭われた。
 

 
 始発電車が走り始めるころ、二人はホテルを後にした。安倍のと繋がっていた場所に少し違和感を覚えたが、辛くはなかった。

「雨、止みましたね」
 昼間とは違い、透き通るような空気の匂いがした。バイクの音があちらこちらと走り回っている。

「ええ、東の空が少し明るくなってきましたよ。今日は晴れですよ」

「こんなに朝早くお散歩するなんて気持ちいいですね」
 夕子は大きく息を吸い込んだ。

 二人の間に沈黙が続いた。

「あの……」

「はい……?」

「僕と一緒になってもらえませんか?」
 真っ直ぐな安倍のの声だった。

「嬉しい……。でも、私は目が……」
 結婚は諦めなければ、と誰から言われた訳ではなく夕子自身、子ども頃からそう思っていた。

「言ったじゃないですか、僕が立花さん……君の光になります」
 安倍の真っ直ぐな声が夕子の心を動かした。
 

 
 それから半年後、夕子と安倍はいつもの駅の近くにあるチャペルにいた。

「ほら、オーナー、夕子さんのネイルとてもキレイでしょ?」
 石鹸の匂いがして、ふう、と指先に息を感じた。

「夕子、このドレス、似合うわよ。私のお下がりだけどね」
 夕子の母親の笑う声が聞こえた。

「ほら、神父さんが来る前に記念写真撮ってよ」と言いながらトニックシャンプーの匂いに手を取られる。

「みんな! ハイ、チーズ……」
 夕子の大きな声がチャペルで響いた。

おわり……。
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