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舞い降りた天使
第1章 レモングラス

でもそれから
少しずつフロアには人が増え始め
栗原くんの後ろ姿が
見え辛くなってきた頃には
売りつけられそうになったら
断ればいいや
お金なんて無いんだし
とか
そもそも栗原くんが
優しくしてくれるなんて
おかしいと思ってたんだよね
と、思うようになっていた
「徳永さん、打ち合わせいいですか?」
「あ、はい、大丈夫です」
しばらくして
私はチームリーダーに声をかけられ
別の会議室でチームの打ち合わせが始まった
その打ち合わが終わったのは
12時半
それからすぐに
私はお昼の休憩をすることにした
栗原くんに伝えた12時を過ぎていて
ちょっと気にはなったけど
フロアに栗原くんの姿は無く
私は持参したお弁当を持って
休憩室へと向かった
休憩室と言っても
ただテーブルと椅子があるだけ
この時間に食事をとる人は少なく
昼食はみんな外に出ることが多いから
たいてい私はココで
ひとりきりなんだけど…
「あ、徳永さん遅かったですね」
今日は
一人きりではなさそうだった
「ミーティング入ってしまって」
「あ、そうなんですね。
アプリの〆切近いですもんね」
「うん、そうなの」
「どうぞ」
「えっ…」
「どうぞ」
栗原くんは
自分の座ってる席の隣の椅子を引いて
私に座るよう促した
怪しい天使のような笑顔で

