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舞い降りた天使
第1章 レモングラス
いくらでも
断るチャンスはあった
会話を避けるくらいのこと
簡単にできたはず
あの笑顔の裏で
栗原くんは
何かを企んでいるのかもしれない
それでも
連絡先を交換したのは
紛れもない
昨日の優しい言葉を
忘れることができなかったから
あの大野先生との会話を聞いていたにも関わらず
栗原くんが私に声をかけてくれたのは
本当に心配をしてくれたからなのか
それとも
弱みを握られたということなのか…
その時の私に
真実は分からなかったけど
また
優しい言葉を聞きたかった
桜の話を
聞いてもらいたかった
私の
つまらない愚痴を
少しでも聞いてくれるのなら
私は
栗原くんに
騙されてもいい
そう思ってしまうほど
その時の私は
孤独という
暗闇の中にいた