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舞い降りた天使
第21章 スタート

そしてその翌日
俺は教えてもらった
真穂の部屋へ向かった

真穂の部屋は203号室

なんか…緊張する

まず俺は
マンションに隣接する駐車場に車を止めた

そして緊張をほぐすように
肩を上下に動かしながら
マンションの階段へとゆっくり歩く

ふー…

だめだ
余計ドキドキする

真穂に久しぶりに会えることと
本当に離婚届が届くのかという不安で
俺はもう
居ても立っても居られなくなっていた

もうゆっくりなんて
歩いてられない

俺は
目の前に現れた階段を見るなり
一気に二階まで駆け上がると
躊躇うことなく203号室の呼鈴を鳴らした

ピンポーン…

「はーい」

「あ、栗原です」

……ガチャ

鍵を開ける音がすると
目の前のドアがゆっくりと開き
少し緊張した真穂が
顔をのぞかせた

「どうぞ…」

「うん」

想像してたのは
映画のワンシーンだった

ドアが少し開くと
俺はそのドアを勝手に開けて中に入り
靴を履いたままハグ…
いや、熱烈なキス
2人はそこで
クラクラするような抱擁を交わすはず…だと思っていた

「狭いんだけど」

「ううん。
じゃ、お邪魔します」

久しぶりの再会は
思ったよりも照れ臭くて緊張するもので
突然のハグやキスなんて
俺にはできなかった

かっこ悪いけど

「ここ、座ってて。
お茶、入れるね」

「うん」

狭い2D.K
まだ何も揃ってない
さっぱりとした部屋の
小さなテーブルの前に俺は腰を下ろした

「ごめんね、わざわざ来てもらって…」

真穂も少しよそよそしく
なんか他人行儀な感じで
俺にコーヒーを出し
俺の隣に腰を下ろした

まぁ…まだ他人なんだけど

「来たかったから来たんだ。
本当は昨日の夜にでも
会いたかった」

「…うん」

「夜とか全然眠れなかったよ」

「…私も」

もう…ハグしても
いいよな

「真穂」

「ん?」

「あのさ」

ハグ…

「あ、巧くん」

「え?」

「昨日はありがとう。
電話切ってから
さっちゃんスッキリしたみたいだった」

「あ、そっか
それなら良かった」

じゃあ
そろそろ
ハグ…

「駿太くんは何か言ってた?」

「え?あ、あー駿太な」

「うん」

「真穂」

「ん?」

「ごめん。
とりあえず」

「うん」

「ハグしてもいい?」


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