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舞い降りた天使
第24章 天使
「お菓子?
あかりちゃんのお母さんは
お菓子とか作ってくれるのか?」
「そうなの。
あかりちゃんのお母さん
お母さんの鏡みたいな人でね
お料理もできるし
優しいし
専業主婦で本当にすごいの。
私は桜に辛い思いばっかりさせて
ダメなお母さんの見本みたいだから(苦笑)
さっちゃんのお母さんも
あんなお母さんだったら良かったのにね」
バックミラー越しに2人を見ると
さっちゃんは真穂のその言葉に
ほっぺを膨らませていた
「私はお母さんがいいのに!」
「ありがとね。
さっちゃんは優しいね」
相変わらず真穂は
母親として自信がない
離婚したことや
さっちゃんが不登校になったことを
やっぱり自分の責任だって思ってるんだ
真穂には
よそのお母さんが
とても立派に見えるようで
『お母さんはダメだね』
『あんな母さんになりたい』
と、さっちゃんに話してるのをよく聞く
さっちゃんにとっては
きっと
世界一のお母さんなのに
「さ、着いたぞー」
「ねぇねぇタクニイ
何冊買っていい?」
「駿太から言われたのは…3冊だったよな?」
実は最近
駿太が時々
さっちゃんの勉強を見てくれるようになった
それでもっと本を読まないとって
アドバイスされて
さっちゃんの好きな本を
時々買ってあげるのが
俺の楽しみになってるんだ
「はーい」
さっちゃんは
車から降りると
俺達2人を振り向くことなく本屋へと入って行ってしまった