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舞い降りた天使
第2章 パッションフラワー
わかってる

そんなこと分かってて
ここに来てる

栗原くんが
私を誘う理由なんて
他にはない


それでもやっぱり
いざハーブティを売るという
栗原くんの本題に入りそうになると
私の心は沈んだ


「これ、パッションフラワー。
お布団入る一時間くらい前に飲むといいから」


目の前で
栗原くんはそのハーブティの説明を詳しくしてくれているけど
思いのほか落ち込んでしまった私の耳には
全く話が入ってこない


馬鹿だなと思う


他人から見れば

少し優しい言葉をかけられただけ

連絡先を聞かれて
メールをしてくれただけ

私の手を握って
一緒にランチを食べただけ

馬鹿な寂しい主婦を
騙そうとしているだけ…

ただそれだけだと
言われるかもしれない

けど

私にとってそれは全部
『それだけのこと』
なんかじゃなくて
すごく嬉しいことで


それで


だから


そんなこと
ダメなんだけど


私は多分



栗原くんのことを

好きになってしまっていた
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