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舞い降りた天使
第3章 友達
えっ…どうして…
待って
突然こんなこと…
ふいに抱きしめられ
そう戸惑いながらも
私は
その腕を払いのけることができないでいた
背中に当たる
温かな胸元
とても優しく
遠慮がちに回した腕
男性に抱きしめられるのは
数年ぶりだった
それなのに
鼓動が高鳴ることはなく
私は
栗原くんの腕の中で
なんとも言えない安堵感に満たされていた
何を理由に
こんな私を抱きしめてくれたのかは分からない
もしかしたら
何か企みがあってのことかもしれない
それなのに私は
栗原くんに甘えたい
このまますがりつきたい
素直にそう思ってしまった
「徳永さん…」
耳をくすぐるような優しい声
「大丈夫。
徳永さんは頑張ってます」
頑張っても
認めてもらえない
頑張っても
頑張っていないと言われてしまう私にとって
栗原くんのその言葉は
何よりも
嬉しかった
どうして
私にこんなに優しくしてくれるの…
もう
このまま
時間が止まってしまえばいいのに…
でも時間は止まるはずもない
そしてこれは
夢でもない
どう考えても
これはいけないことで
甘えてはいけない相手
でも…
そう心の中で葛藤をしはじめた時
私の身体から
栗原くんの身体が
ゆっくりと離れてしまった
「ごめんなさい」
そう謝ったのは
栗原くんだった