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舞い降りた天使
第3章 友達
謝らなくていいよと
私は首を振って見せたけど
栗原くんは
「ご主人に叱られますよね。
勝手に…すみません」
と、私にもう一度謝ってくれた
いいの
嬉しかった
ほんとはまだ
離れて欲しくなかったくらい
もちろん
そんなことは言えないまま
私は涙をぬぐい
大きく深呼吸をして
心を落ち着けた
そして
どうして栗原くんがこんなことをしたのかを
考えはじめた
抱きしめれば
寂しい主婦は
喜んで高価なハーブティーを買ってくれるという商法なんだろうか
そうでなければ
こんな私を抱きしめるなんて
考えられない
それに
わざわざ個室のある店を指定するなんて
…計画的
そんな考えがまとまると
私の心は深く沈んだけど
それと同時に
希望が生まれていた
そう
もし本当に
そういう商法なら
ハーブティを買うまで
栗原くんは
私に優しくしてくれるはず…と。
馬鹿だと思う
そんなことまでして
優しくされたいのかと
自分でも思う
でも
それでも
今の私は
それが演技だとしても
かまって欲しくて
優しくされたかった