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舞い降りた天使
第3章 友達
「あ、で、それでさ」
ダメだ
俺がちゃんと
徳永さんを癒さないと
「あ…うん」
徳永さんはまだ
俺のことを心配そうに
見ていたけど
正直
このまま癒されたい気持ちになったけど…
俺は
その気持ちをぐっと抑えて
話を続けた
「こうでもしないと
徳永さん
俺に愚痴なんて
話してくれそうもなかったし
警戒されてる気がしたし
何でもないならそれでいいんだけど
辛い事あるなら
聞きたいなって…」
辛いことがあるのは
間違いないはず
でも
俺を頼って
話してくれるかどうかは別だ
こういうこと
身近な人には話さないもんだし
残念ながら
俺は同じ職場だし……
「……」
案の定
徳永さんは迷っているのか
言葉を選んでいるのか
それとも
俺の姉ちゃんのことを
まだ心配してんのか
黙り込んだままうつむいていた
「友達に…
愚痴る感じでいいからさ」
そう言って
俯く顔をのぞくと
徳永さんの
囁くような声が聞こえた
「…信じて…いいのかな…」
その声は
少し
震えていて
徳永さんは
今にも泣きだしてしまいそうだった
その姿は
姉ちゃんとまるで同じ
俺に『苦しい』と
やっと言ってくれた時の
姉ちゃんと…同じだった
だから俺は
徳永さんを抱きしめたんだ
バラバラになりそうな
徳永さんの心が
砕け散らないように
それを全部
受け止めるように…
「信じて欲しい。
全部、本当のことだから」