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舞い降りた天使
第3章 友達


「っ…ごめんね…」


しばらくすると
徳永さんの涙は少しおさまり
俺に謝りながら
バックに手を伸ばした

多分
ハンカチを取ろうとしたんだと思う

それをきっかけに
俺は抱きしめていた腕を
ゆっくりとほどき
今度は俺が徳永さんに謝った


「俺こそ…ごめん。
何回も…」


そう
天ぷら屋でも
俺は勝手に徳永さんを抱きしめて
謝ったばかりだった


「…ううん…」


それなのに
そんな俺を
徳永さんは責めたりせず
首を横にふって
許してくれた

そして徳永さんはうつむいたまま
バックから取り出したハンカチで涙をぬぐった


「でも…どうして…」


どうして
抱きしめるのか

そうだよな

友達になりたいって言っておきながら
こんなことをするのは
普通おかしいのかもしれない


「治療…かな…」


「…治療?」


「最近
俺は姉ちゃんを抱きしめたりはしない」


「…え…」


俺の言葉に
動揺したのか
徳永さんは顔を上げて
俺を見つめた


「今そんなことしたら
気持ち悪いって怒られるよ。

でも
あの頃は
時々姉ちゃんを抱きしめてたんだ。

姉ちゃんを抱きしめる大人が
誰もいなかったから」


「……」


「おかしな関係じゃないよ?

苦しい時とか
悲しい時
抱きしめられると癒されるじゃん

姉ちゃん
よく言ってた

『子供が不安な時
私に抱きつくのは
抱きしめられると
癒されるからなんだね…』

…って。



癒されて欲しかったんだ
徳永さんに

癒されたかどうかは…わからないけど」



抱きしめてる俺は

ちょっと
癒されてたけど。

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