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最後の恋に花束を
第4章 高校三年の春

『 あ、もしかして金欠とか?』

私のことを馬鹿にするかのように笑いながら呟く彼。何があったか、なんて遙ぐらいしか知らないのに。

そんな彼の素振りに、ギュッと胸が締め付けられた。


『 じゃあバッセン行こう!バッセン!』

「 ば…っせん?」

『 そ!バッティングセンター!』

「 わ、私…行ったことない 」

『 嘘?まじ?本気?それは尚更!行こうぜ!』


彼は私の言葉を聞いた途端に、無邪気にはしゃぎ始めた。遙の情報によると、バッティングセンターでパッドを振るのは数百円で済むらしく、その程度なら…と返事を返した。


『 じゃあ、ヒロも誘うわ!』

「 …っ、え、ヒロ君も誘うの?」

『 …わ?ダメ?二人が良かった?』


久し振りの名前にただ単に驚いた私に、まるで意地悪を言うかのような表情をして私を見る遙。

そんなわけないでしょっ、と肩を軽く叩くと、折れた〜!お巡りさん助けて〜!なんて冗談を笑いながら言っている。

いつでも、どんな時でも能天気な彼に、私は笑みを溢した。

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