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最後の恋に花束を
第1章 四年ぶりの春

「 … それ、本当に思ってる? 」

あの頃とは違う、成長した私は口を開く。
貴方に、たくさん聞きたいことがあるから。
ちょうどワインが運ばれてきた時だった。


『 … 思ってるよ。そりゃね 』


そう言葉にした彼は、再び伏せ目になりワインを口にする。私も、同じようにワインを一口飲む。


「 あっ… これ 好き 」


彼の選んだワインだったが、私の好きな渋みのあるワインに少し驚いて言葉が先走った。


『 … だろ〜? 俺もこれ好きなんだよ 』


伏せ目がちになっていた彼が、目を輝かせながら私を見る。それはまるで少年のようで、学生服を着た彼がふいに現れたかのようだった。


「 ふっ… 相変わらずだね 」

『 んー?なにが。お互い様でしょ 』

「 そうかな? 」


学生の頃から、私と彼は似ていた。
趣味も、性格も、どことなく似ていて。私が好きになるものは、大体彼が好きになったもので。彼が興味を持ったものは、私が興味を持っているものだった。

けれど、決定的な違いがあった。

彼は、幅広い才能に長けていた。誰よりも。
私は彼に、勝ることはなかった。


そして…
私が苦手とするものは全て、彼の得意分野だった。

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