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最後の恋に花束を
第1章 四年ぶりの春

『 それにしてもお前らさ、婚約に至るまで長かったよなぁ 』

「 まぁね… 付き合って3年とかかな? 」

『 でも高校の頃から友達してたんだから、付き合いは長いだろー 』


スパークリングワインと前菜を口にしながらそんな話をする。私の恋人は、高校の頃からの友人でもあり、目の前にいる " 遙 " とも友人関係であった。


『 いやー、ホント。』

「 ん … なーに? 」


その一言を口にすると、彼はワインを飲み干した。それを見た店員は空かさず注文を伺いに来る。その姿を見て私もワインを飲み干す。


『 この赤のグラスワインを、彼女の分も 』


チラリと私の様子を見ながら、私の分も注文してくれる彼に、気が効くようになったなぁ…と思わず感心してしまう。


「 なに、成長したのね 」

『 何年会ってないと思ってんの 』


得意げに笑いながらそう答える彼。
社会人になって仕事に専念しだしてからは会っていない二人。それはもちろんお互いに成長するはずだ。


「 で、さっき何言おうとしたの?」

『 ん? … あぁ 。』

「 なーに? 」


少し前かがみになりながら首を傾げると、彼とパチリと目が合う。可愛らしい猫のような目と。


『 … 俺は嬉しいよ。お前らがくっついてくれて 』


少し伏せ目がちにそう言う彼。本当にそう思っているのか、思っていないのかわからない表情だった。

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