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最後の恋に花束を
第6章 大学一年の冬

季節はもうすぐクリスマス。街はクリスマスムードに包まれ、イルミネーションがキラキラと輝いていた。

私はといえば、夏から始めたバイトの日々に明け暮れ、クリスマスどころではなかった。


大学へ入学してすぐの新歓の日、終電を逃したことをきっかけに、私は一人暮らしを夏休み前から始めた。両親の承諾を得て、家賃は親持ち。けれど生活費は自分で稼ぐということで、アルバイトを始めたのだ。


もちろん一人暮らしだと自由な時間が増え、遊びもそこそこに楽しめた。けれど遊ぶ為にも生活する為にもお金は必要だ。だから私は深夜まで働き、少ない睡眠時間で生活をしていた。


そんなある日の事。


遙から一本の電話が入った。
ちょうど私がバイトの休憩中のことだ。


「 … もしもし?」

『 あー…いちのせー? 』


遙から電話が入る事は滅多に無く、遊びの誘いなどはスマホアプリのメッセージで済ませていたので、少し不思議に思いながらも電話に出た。


『 今からウチ、来れるー? 』


電話越しに聞こえる彼の声は、いつもの調子とは違い、どことなく甘ったるい喋り方をしていた。そして彼の声の後ろからは数人の男女の笑い声が聞こえる。時計の針は午後10時を指していた。


「 ごめん、まだバイト中なんだ 」

『 えー まじかよ。つまんねー 』

「 ど、どうしたの…? 」

『 んや、いいや、またねー 』


その声が聞こえたかと思うと、プツッと通話が途切れた。急になんなんだ…と思いながらも、いつも通りバイトの休憩を済ませると、仕事へと戻った。

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