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最後の恋に花束を
第6章 大学一年の冬

髪が乾きいつも通りのスキンケアを終えると、再びベッドを覗く。まだ彼は寝ているようだ。

テレビの音が流れる中、電気だけ消して私は彼の眠るベッドに近づき静かに身体をベッドに乗せた。マットレスがとてもふかふかで、揺れる。彼を起こさないように、小さくなりながらソロリと身体を横にして布団をかぶると、タイミングよく彼が目覚めた。


『 ハッ… やべ、寝てた。』

「 … ん、そうみたいだね。」


布団の上に寝転んでいる彼を、布団の中からチラリと見る。いつもより近い彼の表情に、少しだけドキドキと心臓が高鳴る。


『 もう風呂入った?』

「 とっくにね。」

『 まじかー。じゃあ俺も行ってくるわ 』


そう言って身体を起こす彼。
フワフワとマットレスが揺れる。

足早に浴室へと向かう彼の背中を見送ったあと、私は少しだけホッとして瞼を閉じた。


それからどの位の時間が過ぎただろうか…


ハッと目を覚ます。どうやらあのまま眠ってしまったようで、あたりを見回すとテレビは消え部屋は静まり返っていた。


『 ん、起きた?』


声のする方を見ると、スウェット姿の遙がスマホを片手にソファに腰掛けている。


「 起きた… 今、何時?」

『 0時過ぎ 』

「 … 寝ないの?」

『 あー… 俺?』

「 そう 」


彼がお風呂に行くと言ってからベッドに戻った様子は無く、まるで私一人で大きなベッドを占領しているようだ。


『 俺、ここで寝るわ 』

「 … えっ?」

『 うん、俺ここで寝るから。』


そう言うと彼はソファで身体を倒した。

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