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君に熱視線゚
第46章 恋の片道切符二枚組
「苗…っ‥」
言わずにおく‥
そう決めていた…
明日にはもう俺は日本に居ない
今日が最後のつもりだったから…
俺が居なくても苗にはなんてことない──
そう思ったから…
でも、ほんの少しでも望みがあるなら…
もし、期待通りの苗の反応が見れたなら‥
ちょっとくらいは賭けてみようか…
いいよな‥そのくらい…
どうせ、最後だと決めて来たんだ‥
今更どんな展開になっても悔いが残るよりは──
「苗……」
晴樹は自分にしがみつく苗をそっと離し、伺うように声を掛けた。
頬を上気させ何度も重ねられた唇は赤くぽってりと色付いている‥
大好きな苗…
泣いた顔も
怒った顔も
もちろん笑顔なんて最高に大好きだった…
俺が居なくなる…
それを知ったら苗はどんな顔をするだろうか?…
苗が悲しがる顔だけは好きにはなれない‥
けど…もし──
苗がもし、俺を思って悲しがったら‥俺は理不尽にも両手放しで喜ぶんだろうな‥‥
そんな淡い期待を心に宿し晴樹は苗の熱る唇を指先でなぞる
「苗‥話がある…」
「‥はなし?‥//」
ほんのり赤い顔を向け苗は聞き返した…