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君に熱視線゚
第53章 恋の修羅場ラバンバ!
懐中電灯を手にして夏目は苗の班のテントを探す。
丸い灯りがそこらかしこでユラユラと揺れていた。
学生の恋人同士の影があちこちで暗闇に消えていく。
その姿を白い目で見過ごしながら、夏目は電灯の灯りに一瞬照らされた苗を見つけた。
「あ…の野郎っ…」
前には苗の手を引く悟が見える。夏目は呟くと直ぐに後を追いかけていた。
「あれ……大ちゃんだ…」
何処から照らされているのか暗闇で懐中電灯の灯りが激しく揺れ動いている。
後ろを振り向いた苗は、自分を追ってきた夏目に気付き、足を止めていた。
辿り着いた夏目は肩で息をしながら苗の手を掴んだ。
「どこに行くんだ?」
悟に喰い掛かりたい気持ちを抑え、夏目は苗に訊ねる。
悟はそんな夏目を表情を変えずに見ていた。
「今からホタル見にいくだよ。大ちゃんもホタル見たい?」
「見たい!」
間髪入れずに即答する。
苗の手はしっかり握ったままだ。
悟は夏目のその手を見つめるとくるっと背を向けた。
「行くなら早く行こう」
夏目を無視して苗をそう急かすと悟は勝手に歩き出していた。
頷いた苗は悟に手を引かれながら夏目も引っ張っていく。
三人、縦に連なり手を繋いで歩きながらその列は次第に横に並んでいた。