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君に熱視線゚
第52章 君に熱視線゚〜愛の鈍行列車〜


帰国した早々、新妻は人使いが荒い。

旦那様を労る気持ちも何もない苗はスーパー丸一で三つ子と晴樹達を相手に指揮をとる。

「陸はペーパー取りに行って! 兄さんはこっちっ…レジに並んで順番待つ! 海は玉子っ、空は醤油! 悟ちゃんはカートを持ってここに居て!」

狙うはペーパーばかりじゃない。
広い店内でお買得品を効率よく手に入れる為に、手際よく購入品の担当が振り分けられる。

お一人様一品の品を6人分。

カートに集めた品物を各自が手にしてレジを通過する。

「いや〜大量購入完了っ」

「やったな姉ちゃん!」

田中家姉弟は車に乗り込むと満足な言葉を口々に発していた。

晴樹は車を運転しながら目をしらーっとさせる。

結局、全部の支払いを済ませたのは晴樹だった──


まあ、今更だけどな…

満作に苗との結婚の許しをもらう際、田中一家皆を養うつもりで頭を下げている。

何故か一人余計な人数が加わってはいるけど仕方ない。

結婚するってことはその家族の親戚とも付き合っていかなきゃならないのだから──

晴樹は定員オーバーで微かに寿司詰め状態の後部席をチラリとミラーで確認すると、悟の様子を盗み見ていた。

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