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エメラルドの鎮魂歌
第6章 招かれざる訪問者
「…ああ…八雲…んんっ…」
長く濃厚な口づけに瑞葉は甘い喘ぎ声を漏らす。
夜着の鈕を外しながら、八雲はまだその薔薇の蕾のように美しい唇を解放する気はなかった。
…舌を絡め強く吸い、口内を蹂躙する。
「…んんっ…は…ああ…っ…ん…」
苦しげな息を上げだした瑞葉を漸く解放し、透き通るように白く…なお桜色に染まった耳朶に歯を立てた。
「…今日は…いつもより反応が早いですね…。
もう…こんなに…」
八雲の大きく美しい手が瑞葉のほっそりとした…しかし健気に勃ち上がっている薄桃色の花茎を握りしめた。
「…あっ…い…や…んん…っ…」
激しく羞恥し首を振る瑞葉に、欲情の色を濃くした八雲は荒々しく夜着をはだけさせ、脱がせようとした刹那…瑞葉が掠れた声を上げた。

「…ま…待って…今日は…脱がさないで…」
八雲は眉を顰めた。
「…なぜですか…?」
一瞬言い淀むと、そのまま八雲の首すじに腕を絡める。
「…早く…このまま…もう…欲しいから…」
瑞葉の欲望の言葉に堪らず、そのまま寝台に押し倒す。
「瑞葉様…!」
「…はやく…はやく…挿れて…」
うわ言のように繰り返す瑞葉に、濃密な口づけを繰り返しながら、八雲は己れの猛り狂った牡を取り出す。
ほっそりとした真珠色に輝く太腿を押し開き、くれない色に色づいている可憐な花環に押し当てた。
…馴らす必要がないほどに、八雲は瑞葉を抱いているのだ。

軽井沢の屋敷に移り住むようになってから、二人は連日のように愛し合っている。
人目を気にせず、愛し合えるようになった反動が激しく爛れた愛の営みへと繋がったのだ。

そのせいで瑞葉の後孔は、男の熱い牡が押し付けられただけで甘く疼き…柔らかく男を受け入れる淫らな孔へと変化したのだ。

「…挿れますよ…」
「…んんっ…!…あ…ああ…はいっ…て…はあ…っ…ん…」
毎晩抱かれても、この瞬間だけは慣れることは出来ない…。
…愛する男の牡に犯される苦しさとそれを上回る痺れるような悦び…。
蜂蜜色の艶やかな髪を振り乱し、首を振る。

…ましてや、今夜は…。

瑞葉は挿入の衝撃に耐えながら、長い睫毛を震わせ瞼を開く…。

…次の間へと続く扉が僅かに開いている。

その隙間から覗く暗い虚のような二つの瞳…。



…「…貴方と執事の情事を覗かせてください…」

瑞葉は快楽の小波に翻弄されながら、有島の言葉を思い出していた…。


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