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エメラルドの鎮魂歌
第8章 エメラルドの鎮魂歌 〜終わりの序曲〜
…夜になり、扉の向こうから密やかな声がかかった。
「…瑞葉様。お食事を次の間にご用意いたしました。
少しで良いのでお召し上がりください…」
…八雲だ。
息を飲んで、振り返る。
だが、扉を開けることはしなかった。
瑞葉は返事をしなかった。
まだとても、貌を見ることなどできなかった。
…どうして…?八雲…。
分からない…八雲が…。
僕が知らない八雲を見せつけられるなんて…思っても見なかった…。
静かな声が、続いた。
「…私と貌を合わせるのがお嫌でしたら、私は瑞葉様の前にまいりません。
…けれど、お食事だけはお摂りください。
お身体に触りますので…」
…それでは…と美しい声が遠ざかる。
その足音が消えた時、瑞葉は堪えきれずに涙を流した。
「…瑞葉様。お食事を次の間にご用意いたしました。
少しで良いのでお召し上がりください…」
…八雲だ。
息を飲んで、振り返る。
だが、扉を開けることはしなかった。
瑞葉は返事をしなかった。
まだとても、貌を見ることなどできなかった。
…どうして…?八雲…。
分からない…八雲が…。
僕が知らない八雲を見せつけられるなんて…思っても見なかった…。
静かな声が、続いた。
「…私と貌を合わせるのがお嫌でしたら、私は瑞葉様の前にまいりません。
…けれど、お食事だけはお摂りください。
お身体に触りますので…」
…それでは…と美しい声が遠ざかる。
その足音が消えた時、瑞葉は堪えきれずに涙を流した。