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エメラルドの鎮魂歌
第8章 エメラルドの鎮魂歌 〜終わりの序曲〜
…その日は突然、やってきた。
暑い盛夏の昼下がりであった。
菜園の水撒きをしていた八雲のもとに村の村長が慌てふためいた様子で近づき、何かを伝えた。
間も無く八雲が足早に屋敷に戻ってきた。
居間のラジオをつけると、玉音放送が流れてきた。
固唾を呑んで、耳をそばだてる。
雑音が酷く、はっきりとは聴き取れない。
「…ねえ、陛下は何て仰っているの?」
焦れて尋ねる瑞葉に、八雲が無表情な声で答えた。
「…戦争は終わりました。日本は、負けたのです…」
敗戦の予測はあったが、いざそれを突きつけられると事実として受け止められない。
「…和葉…あと少しだったのに…」
僅か数か月前に戦死した和葉に想いを馳せ、再び涙が溢れ落ちる。
…何かが…何もかもが変わる予感がした。
そして、これが…終わりの始まりであったのだ…。
暑い盛夏の昼下がりであった。
菜園の水撒きをしていた八雲のもとに村の村長が慌てふためいた様子で近づき、何かを伝えた。
間も無く八雲が足早に屋敷に戻ってきた。
居間のラジオをつけると、玉音放送が流れてきた。
固唾を呑んで、耳をそばだてる。
雑音が酷く、はっきりとは聴き取れない。
「…ねえ、陛下は何て仰っているの?」
焦れて尋ねる瑞葉に、八雲が無表情な声で答えた。
「…戦争は終わりました。日本は、負けたのです…」
敗戦の予測はあったが、いざそれを突きつけられると事実として受け止められない。
「…和葉…あと少しだったのに…」
僅か数か月前に戦死した和葉に想いを馳せ、再び涙が溢れ落ちる。
…何かが…何もかもが変わる予感がした。
そして、これが…終わりの始まりであったのだ…。