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エメラルドの鎮魂歌
第2章 その薔薇の秘密は誰も知らない
瑞葉が歩けると、八雲が知ってから瑞葉の生活に特段の変化はなかった。
このことを知る者は、八雲と…青山しかいなかったからだ。

八雲は今までと変わらずに、丁寧に愛情を込めて瑞葉に接した。
車椅子に乗せることを嫌がり、移動には必ず八雲が瑞葉を抱いた。


…変化したことは、瑞葉への性的な触れ合いに濃密さが増したことであった。

瑞葉の脚が動くと知ってからは、八雲は敢えて大胆に脚を開かせた。
瑞葉が羞恥を感じ、泣いてしまうほどのはしたない体位をとらせることがあった。

「…いや…こんな…かっこう…はずかし…い…」
瑞葉は蜂蜜色の髪を振り乱し、涙を流した。

…皆が寝静まった深夜、八雲は寝台に瑞葉を抱き上げると、己れの膝の上に瑞葉を座らせた。

最近は、浴室に加え寝台で瑞葉の身体に触れ、自慰を手伝うことが多くなってきたのだ。
瑞葉は自室で八雲に自慰をされることに、とても乱れた。
浴室でなら、香油で白濁した湯が瑞葉の痴態を隠してくれる。
だが、部屋の寝台で行われるそれは…さながら本物の性の営みのようにあからさまに生々しく瑞葉を動揺させるのだ。

八雲は、瑞葉の白く裾の長い夜着をゆっくりと捲り上げる。
…下着は、着けてはいない。
着けることを許されてはいなかった。
「…私がいつでも貴方に触れられるように…下着を着けてはなりませんよ…」
耳元で低く優しく囁かれ、瑞葉は全身が朱に染まるような羞恥に襲われた。
…けれど、直ぐに小さく頷いた。
八雲の優しくも執拗な愛の罠に、少しずつ陥入る自分を感じた。
それは、十四歳の瑞葉にはあまりに甘美すぎる罠であった。




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