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エメラルドの鎮魂歌
第3章 禁断の愛の果実
八雲は瑞葉の身を愛おしげに清め、新しい夜着を丁寧に着せると、ブランケットを掛けた。
「まだ夜は冷えますので、温かくしてお休みくださいませ」
和かに微笑み、行ってしまおうとする八雲の手を思わず引き留める。
八雲が振り返る。
「どうかされましたか?」

男の手を握りしめたまま、瑞葉は俯いた。
躊躇いながらも口を開く。
「…あのね…」
「はい」
「…どうして…八雲は僕に…その…何もしないの?」
八雲が深い瑠璃色の瞳を見開いた。
「…僕はもう十八だよ。
身体ももう大きくなったし、八雲は僕を好きにしていいんだ…」
「瑞葉様…」
瑞葉のほっそりとした美しい首筋は桜色に染まる。
「…毎回…僕ばかり気持ち良くて…八雲はずっと我慢しているんじゃないか…て」

八雲はふっと目尻に優しい色を滲ませ、微笑った。
そうして瑞葉の艶やかな蜂蜜色の髪をそっと撫でる。
「…貴方は本当に私に抱かれたいのですか?」
「…え?」

八雲の大きな手が瑞葉の華奢な手を握りしめ、己れの下腹部に導く。
…そこには、スラックス越しだというのにまだ硬い岩のようにそそり勃つ牡の像がはっきりと捉えられ…瑞葉はびくりと手を震わせた。

「…これを、貴方の身体の一番柔らかな場所に埋め込むのですよ。
…貴方は女のように私に身体を支配されるのですよ…」
持たれた手が、ぎゅっと握り込まれる。
「…あ…っ…」
…熱い昂りは布越しですら力強い脈をも感じさせる。
「…これが、貴方の身体に楔のように打ち込まれるのですよ…」
八雲の手が瑞葉の白く華奢な手を取り、ゆっくりと卑猥な動きにした。
上下に撫で上げられる八雲の手の動きは、優雅な野蛮さと淫靡さに満ちていた。
…これが…僕の身体に…。

「…や…っ…」
背中にぞくりとした畏怖めいた痺れが走り、瑞葉は思わず手を引いてしまった。

八雲は少しも動揺せず静かに微笑むと、幼子にするように優しく髪を撫で、目線を合わせた。
「…無理はなさらなくて良いのです。
私は、貴方が身体の芯から私とひとつになりたいと思われるまでお待ちしています」

…そうして、ゆっくり立ち上がると
「…もし、そうなられたら…私は貴方のすべてを奪い尽くします」
最後は、息を呑むほどの湿った官能の色香を滲ませた声であった。

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