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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第9章 始めて見た時は、君しか見えてなかった…
日曜日…
お出掛け用の服を着て、駅前で姉を待っていた。
少し待っていると、白い軽乗用車が目の前に止まり、運転席から姉が顔を覗かせた。
「舞花、ごめんね。待った?」
「ううん、大丈夫」
車に乗り込む際に姉の衣装を見て、自分との落差に落ち込む。
「お義兄さんは?」
「智くんは家でゆっくりしてる。昨日まで出張だったの」
「へー」
姉と義兄は2年の交際を経て3ヶ月前に結婚した新婚さん。
仲睦まじい2人を見て、私に陰を落とす。
姉に抱えた黒い気持ちやコンプレックスについて、彼女は知らない…
「新しい仕事は慣れた?」
「うん、忙しいけど皆優しいから大丈夫」
「そう?」
「お母さんは…」
母の話になると、途端に姉は口を噤んだ。
昔から過保護な両親に、姉は辟易としていた。
それとは逆に、私には無関心。
何かあっても怒られたり、姉と比較されることばかり。
構われてばかりの姉に対して、少しずつ心に溜まった毒に気が付いたのはつい最近だった。