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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第16章 手を伸ばしても届かない存在
車はスピードを落として停車した。
逃げられないようスーツ姿の男にのし掛かられ、内ポケットから錠剤を取り出した。
「怖い人達がバックに付いている」という発言を思い出し、違法な薬だと思って反射的に身構えた。
「安心しな、コレは睡眠薬。眠くなれば身体を触られてる感覚も薄くなる。眠ってる間に全部終わるから飲め」
「い、嫌っ!」
眠らされてる間に見ず知らずの相手に好き勝手に身体を触られてるなんて絶対に無理。
現に1回失敗してるんだから…
「おい、口開けろ」
「んー、んーっ」
「面倒くせぇ…」
男はそう呟くと、私の口と鼻を押さえ呼吸を出来なくさせた。
いきなり塞がれて呼吸する暇も無かったので、すぐに息苦しくなって押さえている手を爪で引っかく。
「はぁっ!」
男が手を離して反射的に息を吸い込んだタイミングで、赤シャツの男が錠剤を口に放り込んだ。
「んぐっ!?げほ、げほ…」
息を吸い飲んだ拍子に錠剤も飲み込んでしまった…
「よし、さっさと店に連れて行って着替えさせるか。薬が効くまで時間がねえからな」
万事休すだ…
いくら運良く逃げ出せても、眠くなったら動けずに捕まっちゃう…