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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第16章 手を伸ばしても届かない存在
勝利を確信したような男達の顔を睨んでいると、コンコンと窓ガラスを叩く音が車内に響いた。
コンコンコン…
「な、誰だ!?」
「警察か!?」
警察!?
助けに来てくれたんだ!
「助けて」と声を出そうとした瞬間、口内に布が押し込まれた。
苦しくてえずきながら男を見ると、仮面のような張り付いたような表情で見下ろしていた。
「声を出すな」
今までに無い恐怖を感じて、何度も頷いた。
男はそのまま運転席の男に声を掛けた。
「おい、警察か?」
「いや違う」
「なら適当に追い払え」
どんな会話をしているのか聞こえないが、しばらくすると運転手が苛ついたように車から降りた。
「うわぁぁ!!」
突然外から運転手の叫び声が聞こえ、車内に残った2人は慌て出す。
「どうした?何があった?」
「おい、見てこい」
スーツ姿の男が赤シャツの男に命じて、男は車から降りた。
「何だおま…がはっ…」
今度は男の呻き声とドサッという鈍い音が聞こえてきた。
「何なんだ…」
車外で何が起きてるの…
悲鳴が聞こえて男は焦り出す中、後部座席の窓ガラスがコンコンと叩かれた。