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第8章 歩


 見たいものを散々お預けされて、今か今かと和香奈は夏帆さんの写真が開かれるのを待っていた。
相変わらずオッパイ丸出しのまんま、俺の携帯を覗き込んでいる。
待ての姿勢が余り上手に出来てないのは、ご主人様に慣れすぎた甘えん坊のトイプードルだな。
夏帆さんが一見変わったチワワなら丁度いいかも……などと思った瞬間笑いが出た。

 「もうー!!歩狡いよ。散々焦らしておいてその不敵な笑いは!!」

 「いや、和香奈はトイプードルっぽいな〜って」

 「夏帆さんがチワワで私がトイプードル?」

 「トイプードルも可愛いと思うけどね」

 和香奈の柔らかい髪を撫でる。

 「歩に髪を撫でられるの好き。歩はクールで一見近寄りがたい雰囲気だし、Sも入ってるから甘えるのなんて出来ないのかって思ったけど、本当は優しくて、こうされるのは彼女の特権なんだって……だから私は特別なんでしょ?」

 そういう事をスラスラ言える女は、素直に育ってきて自分に自信もあるんだよな。
特別な女になる自信アリと遠回しなアピールをし、俺にそう思わせようとする呪文を唱えてくる。

 「かもな。じゃなきゃ星空の話はしてないな」

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