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第9章 欲しがりや

 ランチを終えて、デパートの中をぶらつく。
女の子好みの可愛いお店なんて、俺がそこに一歩踏み入れただけで浮いてしまう。
和香奈は「可愛い妹の為よ!」とか言いながら、何だか嬉しそうだ。

 「それより早くしてな?それか店の外で待っていたらダメ?」

 「ダメよ。一緒に星空ちゃんに似合いそうなもの選ばなきゃ!」
 
 「妹の為に此処に居る俺って……ある意味罰ゲームじゃね?」

 「そういう思いをしてプレゼントするから意味があるんじゃん!
歩が初めて私にプレゼントしてくれたものは花だったね」

 「そうだったね」

 「嬉しかったから、枯れてしまった時は寂しかった。
だから写真に残したよ。
形がなくなるものは寂しい。大事にしたいけどサヨナラもあるから」

 「そっか」

 「でもね、花を見ながら、歩がどんな顔して選んでくれたのかって想像したらさ、幸せな気持ちになったよ」

 「花を買うなんて初めてだったな」

 「そういう気持ちが嬉しいんだよ。
ピンクのチューリップが大好きになったよ」

 「なるほどね」

 「花言葉………………ならね」

 「えっ?何?今なんか言った?」

 「なんでもな〜い」
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