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第9章 欲しがりや
 
 聞き逃した和香奈の言葉が気になった。
けど敢えて聞き直さなかった。

ーー


 「あっ、このポシェットはどうかな?
物を入れる部分がウサギの顔のぬいぐるみになっていて、ファスナーを開けるとハンカチやティッシュを中に入れて持ち歩けるようになってる。
女の子ってさ、ママの真似したがるの。
ママがバッグの中にいろんなもの入れてるでしょ。
自分も同じ事して大人気分を味わうんだよ。
飴とかお菓子まで詰めていくんだよね。
うちの姪っ子も同じようなもの持っていて、いろんなもの詰め込んでる。
星空ちゃんにこのポシェット似合うんじゃない?」

 「和香奈もそんな時期があったんだよね?
じゃあそのポシェットにハンカチとお菓子を入れてあげればいいんじゃね?」

 「それいいね!喜ぶよ、星空ちゃん。
あっ、それとさ、私にだってちゃんと可愛い時代もあったんだよ。
いきなりエッチな子にはなりませんからね!」

 「だよね。星空がいきなりエッチな子になったら、兄辞めるわ」

 「愛されてるな〜星空ちゃん」

 「19も歳が離れてんだぞ?娘でも通用するくらいさ」

 「間違えられた事あるんだ?」

 「………あるね」




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