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第10章 パッション
光輝もグイッと生を飲み、俺の様子を伺いながら話し始めた。
「俺さ、ずっと出来のいい兄貴と比べられながら育ったんだ。
自分で言うのも何だけど、兄貴に唯一勝てるとこは顔だけなんだ。
『光輝君は器量よしね』なんて、褒められるのはそこばっか」
「褒められる場所があるだけマシだろ?」
「だからかな?そこばかりを伸ばそうとするのって。
ルックスだけ磨いて、肝心なとこは未熟で」
「得意分野なら飽きずに磨けても、苦手な事にそっぽ向いてきた結果だ。
まあ、そんなの光輝だけに限らず、俺を含めて大半の人間はそんな風にしか生きれないんじゃね?」
「だよな。だからさ、俺のことを直ぐ好きになってくれる女は物足りないんだ。
俺にとって恋愛はゲーム。
ゲームはクリアしたらそれで満足しちまうだろ?」
「かもな。でも、その考えは人を傷つけるぞ」
「分かってる。だから俺じゃ和香奈は幸せにはなれない。
歩……怒らないで聞いてくれる?」
「ああ…」