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第10章 パッション

 言葉というのは、その時の気持ちを素直に吐いてしまうもんだ。
そして、嫉妬混じりの醜い表情も瞬時に出るのだろう…。

「いつもみたいな振り方は辞めろ。
ほら、お前は狡いとこあるからわざと振られるように持っていくだろ。
秋葉原にデートに連れて行って、アニメショップ巡りしたり、アイドルの劇場に行って、周りのオタク達と一緒にオタ芸を披露し、しめくくりはメイド喫茶でメイドとイチャイチャしながら、オムライスにこうき♡って書いて貰って彼女そっちのけ作戦な。

 お前の見た目と落とすまでのリッチなデートコースに騙された女は、呆れて音信不通になるだろうよ。
仮に俺が女だったらな、そういう事をカミングアウトしてくれる光輝に、隠れオタクの自分としては好感持ちすぎて、益々夢中になって苦しめてやるとこだけどな。

 友達として聞いてる分には楽しかった。
『さすが女たらし、只者ではない。俺が万が一、別れづらい女が居たら、その手があるな!』と感心したくらいだ。
でも、それは和香奈には辞めとけ!
正々堂々行け!
世の中の神や仏が許しても俺が許さん!」

 喋り倒して、光輝を褒めているようで、遠回しに下衆の烙印を押し、自分の醜い心誤魔化し作戦!
俺はお前みたいに恵まれた奴が本当は嫌いなんだ。
嫌いなんだけど………
クソ!!嫌いになれないんだ、バカヤロー
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