この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
スパイス
第11章 壊れるほどに 奪って

 次の瞬間、堰を切ったように和香奈は泣き出してしまった。
ワンワンと声を上げ、肩を震わせ、大粒の涙を流す。

 ここがカラオケボックスで良かった。多分、思い切り泣きたかったんだよな?
一人で抱えていた感情が重すぎて、壊れてしまう前に助けて欲しかったんだよな?
あいつの事でいろいろと俺に聞きたい事もあったんだろ?
でも、聞いたとこでどうにもならないもんな。

 大切だと思っていた人に突然サヨナラされるって、暗い場所に取り残されたように不安で悲しくて、その世界から中々這い上がっていけないんだよな?
分かるよ。俺、経験者だから。

 そっと和香奈を抱き寄せて髪を撫でた。

 「泣くのは我慢すんな。
辛い感情も吐き出せよ。
今の俺は和香奈よりほんの少しだけ心に余裕あっから、自分が苦しいと思う感情は俺に投げても構わないから」


 母さんが出て行った日、まだ子供だった俺はばあちゃんにこんな風に慰められた。
変にツッパって跳ね除ける事も出来ないくらい弱った心は、誰かに優しく抱きしめて貰う事で、悲しみがこれ以上押し寄せてこないよう、盾となってくれるような気がした。

 冷えた心には、人肌の温もりを必要とする時もあるよな…
/276ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ